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【日本上陸】Figmaが国内データレジデンシー開設|官公庁・金融BtoB提案が動く”データ主権”の壁が消えた日【2026年9月11日】


公開日

Figma 国内保管開始|日本DR開設

2026年9月11日、Figmaが日本市場向けの「データレジデンシー(国内データホスティング)」の提供を開始したと発表した。Enterpriseプラン契約組織を対象に、Figma Design / FigJam / Figma Slides / Figma Make のファイルデータを日本国内(東京・大阪リージョン)で保存できる。

Figmaは月間アクティブユーザー数で日本が世界トップ5、日経225企業の2/3が導入という主要市場(2026年6月30日時点)。今回のデータレジデンシー開設は、これまで「データ越境問題」で導入が止まっていた官公庁・金融・医療といった規制産業の需要に応えるものだ。

制作会社の現場でも「Figmaで提案したかったのに、クライアントのデータ管理基準で通らなかった」という空気は確実にあった。本記事では、Figma公式発表と各種公開情報を突き合わせながら、BtoB提案の現場でこの変化が何を意味するのかを制作会社レンズで整理する。

デザインツールを操作するチームの様子
Figmaは日経225企業の2/3が導入する主要デザインツール。日本でのデータレジデンシー開設で規制業種への導入余地がさらに広がる。
(出典:Unsplash)

Figma 日本データレジデンシーとは?

Figmaの日本データレジデンシーとは、Enterpriseプラン契約組織が Figma上のファイルデータ(Figma Design、FigJam、Figma Slides、Figma Make)を日本国内のAWSデータセンター(東京・大阪)で保存できるようにするオプション機能である。従来Figmaのファイルデータは米国リージョンで保管されており、「海外サーバー禁止」「国内保管必須」といった要件を持つ組織はFigma Enterprise導入自体が困難だった。

今回のリリースにより、対象組織はFigma管理者ダッシュボードから「Data storage localization」を通じて日本リージョンでの保存を選択できるようになる(実際の切り替えはFigmaサポートへの申請が必要)。

これは同社が展開するEU / オーストラリア / インド / ブラジル / カナダ / 米国に続く6リージョン目相当の展開で、日本市場の重要性を示す動きでもある。

提供スペック早見表

項目 内容
発表日 2026年9月11日(Figmaグローバル)/9月9日(日本国内プレスリリース)
提供開始 発表日から即時提供
対象プラン Enterpriseプラン契約組織のみ(Organization / Professional / Starter は対象外)
データセンター 日本国内(東京・大阪の2リージョン。AWSプライマリ+バックアップ構成)
対象データ Figma Design / FigJam / Figma Slides / Figma Make のファイル(シェイプ・テキスト・フレーム・コンポーネント・埋め込み画像・動画等)
対象外データ 課金情報/セキュリティログ/コミュニティ公開アセット/サードパーティプラグインデータ/付箋の@メンション/プラグイン/フォント/プレビューサムネイル/Figma Weave(ベータ)
AI生成データの扱い AIで生成したファイル内コンテンツも同じロカリゼーションルールに従う(=日本リージョンで保存される)。ただしCommunity等に公開されたデータは米国保管のまま
料金 公表なし。Governance+(2026年5月提供開始のセキュリティ強化アドオン)併用でより厳格な運用が可能
申し込み方法 Enterprise契約のアカウント担当者経由。管理者ダッシュボード内Data設定から選択、Figmaサポートに保存先変更を依頼
既存Enterprise顧客 既存契約下でリージョン切替が可能(既存データの移行手順詳細は公式ヘルプ未記載。担当者経由で確認推奨)

注意点として、ファイルデータの「at-rest」のみが日本国内保存対象で、通信中(in-transit)のデータやCommunityに公開したファイルは対象外である点は現場に伝える必要がある。「完全に海外に出ない」ではなく「保存時点で日本国内」という粒度である。

なぜ”データ主権”が Figma 導入の壁だったのか

クラウドSaaSを法人導入する際、多くの企業(特に規制業種)で必ず論点になるのが「データはどこに保管されているか」である。政府調達要件、業界ガイドライン、社内情報セキュリティポリシー — どれを見ても「クラウド利用時のデータ保管場所を明示すること」「越境データの取り扱いを説明すること」が並ぶ。

  • 官公庁・自治体:政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)や、案件別の「国内保管」条件
  • 金融:FISC安全対策基準に基づいたクラウド利用審査で、データセンター所在地は必ず問われる
  • 医療:3省2ガイドライン(厚労省・経産省・総務省)で、患者情報を含むデータの越境が実務上の障壁になりやすい
  • 大企業BtoB:親会社側のグローバルセキュリティポリシーで「国内リージョン必須」が指定されているケース

Figma Enterprise は機能面ではすでに世界水準(SSO / SCIM / 監査ログ / IdP連携)だが、「US保管」という1点だけで社内審査が通らないケースが確実にあった。これはFigmaのプロダクトではなく、日本のクラウド審査カルチャーの問題である。

日本上陸で何が変わる? BtoB案件への具体インパクト

今回の日本リージョン開設で、以下のような変化が現場で起こると見ている。

1. 「Figmaは審査で通らないので使えない」ロジックが崩れる

これまで社内審査ではねられていた組織が、Enterprise + データレジデンシー + Governance+ の3点セットで再稟議に持ち込める。実際、プレスリリースには デジタルガレージ・アドウェイズ・東京科学大学といった多様な業界のコメントが並び、大学法人(=準公共領域)まで含まれている点は注目に値する。

2. 制作会社の提案フェーズで「ツール選定リスク」が減る

大手BtoB提案で「デザインはFigmaで進めます」と書くとき、これまではクライアント側の情シス審査という不確定要素が残っていた。今後は「日本リージョンで運用可能」と書ける。提案の通しやすさが変わる。

3. AI機能の”越境不安”も緩和

公式ヘルプによれば、AIで生成したファイル内コンテンツも同じロカリゼーションルールに従う。生成AIをデザイン工程に組み込む議論で、必ず出てくる「AI経由で機密データが海外に出るのでは」という不安に対して、少なくともFigma内で生成したファイル内コンテンツは日本保管という説明ができる。※ただしCommunity公開データは米国保管のままなので、公開範囲の運用ルールは別途必要。

4. Governance+ との併用で”守り”を上乗せ

Governance+(2026年5月提供開始)はアクセス管理・データ保護を強化するアドオン。データ所在の日本化 × アクセス統制の組み合わせで、規制業種向け提案の”表明資料”が組みやすくなる。

サーバールームのイメージ
データレジデンシーの本質は「どこに保管されているか」を明示できること。規制業種の稟議では機能より所在が問われる。
(出典:Unsplash)

【制作会社レンズ】cielo が見た”越境データ”問題の実務

ここからはcieloの現場感で書く。実装インパクト・クライアント提案トーン・cieloでの実務経験の3軸で整理する。

実装インパクト:「デザインDBは国内」という一行が書けるようになった

大手クライアントの情報セキュリティ審査に提出するクラウドサービス利用申請書には、必ず「データ保管場所」の項目がある。これまで正直に「米国リージョン」と書くと、その一行だけで審査コメントが数往復するのが常だった。「暗号化しています」「SSO入れています」と説明しても、”保管場所”の1項目でつまずく。

今後は「Figma Enterprise + Japan data residency オプション、東京・大阪リージョンで保管」と書ける。この一行のインパクトは、提案書の見た目以上に大きい。

クライアント提案トーン:Figmaは”審査に強い”側に回った

これまで規制業種向けの提案では、「XD経由でPDF共有」「静的な画像ベース」「先方指定の閉じたツール」といった、Figmaの共同編集メリットを削った動き方に落ち着くことが多かった。今後の提案では、条件付きで「Figmaベースの共同編集フロー」を正面から書ける。

cieloの提案では特に、以下のケースで判断が変わる。

  • 官公庁・独法・自治体系のWeb案件(データ主権要件が明文化されている)
  • 金融・保険系のプロダクト・LP案件(FISC参照のクラウド審査あり)
  • 大手グループの子会社案件(親会社のグローバルポリシーが降ってくる)
  • 医療・製薬・介護領域のオウンドメディア(3省2ガイドラインの余波)

cieloでの実務経験:ツール選定は”落としどころ”の連続だった

過去、cieloが関わった規制業種寄りの提案では、「Figmaを提案の前面に出すか、社内ワイヤーで留めるか」を毎回判断していた。ワイヤーは社内Figma → 共有はPDF・静止画エクスポート → 修正は往復メール、という形で、共同編集のメリットを半分捨てた運用になる。制作側の効率は落ち、確認の遅延も生む。

今回のリリースで、この”落としどころ”を少しずつ引き上げられる。すぐに全案件で切り替わるわけではない(Enterprise契約が前提なので中堅・中小案件では即座に効かない)が、大手BtoBに限ればFigmaを「審査対応済み前提」で提案してよいフェーズに入ったと見ている。

※このセクションはcieloの実務者視点の見解であり、Figma社の公式説明ではありません。各社の情報セキュリティ審査基準は個別に異なるため、実案件では必ずFigma Japanアカウント担当者経由で最新の技術仕様を確認してください。

制作現場での活用パターン|Figma推せる案件が増える3つのシーン

シーン1|規制業種の公式サイトリニューアル

金融・医療・行政のコーポレートサイトや採用サイトのリニューアルで、これまでは審査を避けて別ツールに逃げていた案件。今後はFigma Enterprise + データレジデンシーで「デザインは共同編集、データは国内保管」と両立できる。

シーン2|大手企業のプロダクトデザイン(UI/UX)

SaaS・金融プロダクトのUIデザインで、社内デザインシステム構築や継続的な運用が絡む案件。Figmaのライブラリ・バリアブル機能を活かした継続運用を、国内保管前提で提案できるようになる。

シーン3|情シス審査があるBtoB大手のブランドサイト

親会社の情シス審査で「クラウド利用申請書」が発生する案件。デザインフェーズだけ別ツールを使うのは非効率だが、そのために避けていた案件がFigma一気通貫で提案可能になる。

FAQ

Q1. Enterpriseプラン以外でも日本リージョン保存は使えますか?

A. 使えません。データレジデンシーはEnterpriseプラン契約組織のみのオプションです。Organization / Professional / Starter プランの契約組織は対象外で、ファイルデータは引き続き米国リージョンで保管されます。

Q2. 追加料金は発生しますか?

A. Figma公式・日本のプレスリリースともに料金は公開されていません。既存Enterprise契約に含まれるか、別オプションになるかはFigma Japanのアカウント担当者に個別確認してください。

Q3. すでにEnterpriseで運用中のデータも日本に移せますか?

A. Figma管理者ダッシュボードの「Data storage localization」から保管場所変更をリクエストする仕組みですが、既存データの移行手順は公式ヘルプに詳細記載がありません。Figmaサポートに変更依頼が必要と案内されています。

Q4. AIで生成したデザインコンテンツも日本保管になりますか?

A. Figmaの公式ヘルプによれば、AIで生成したファイル内コンテンツも通常のコンテンツと同じロカリゼーションルールに従います(=日本リージョンで保存)。ただしCommunityなど「公開」されたデータは米国保管のままです。

Q5. 東京と大阪、両方に保管されるのですか?

A. 日本の各リージョンにはプライマリとバックアップのAWSデータセンターが指定されている構成です。冗長化のための2拠点構成と理解するのが自然です。

Q6. FigJam・Slides・Makeも対象ですか?

A. 対象です。Figma Design / FigJam / Figma Slides / Figma Make のファイルデータが日本リージョン保存の対象になります。ただしFigma Weave(ベータ)は対象外です。

Q7. Governance+ と併用する必要はありますか?

A. 必須ではありませんが、規制業種向けの提案では併用が推奨されます。データレジデンシー=「保管場所の統制」、Governance+=「アクセス・データ保護の統制」で、両輪でセキュリティ表明を組めます。

参考メディア・出典一覧

まとめ

  • 2026年9月11日、Figmaが日本データレジデンシーの提供を開始(日本での告知は9月9日)
  • 対象はEnterpriseプラン契約組織、東京・大阪のAWSリージョンでファイルデータを保管
  • Figma Design / FigJam / Slides / Make の4種が対象、Weave(ベータ)は対象外
  • AI生成コンテンツも同ルールで日本保管、ただしCommunity公開データは米国のまま
  • 日経225の2/3が導入する主要市場で、規制業種の稟議通過が現実解になる
  • 制作会社の提案でも「Figmaは審査に強い」側に軸足が動く転換点

データ主権の壁は、機能ではなく”保管場所”という一行で立ちはだかっていた。その一行が変わる。Figmaを提案の前面に出せる案件レンジが広がったという点で、制作会社にとってこのニュースは”静かだが大きな変化”だと考えている。

cielo のFigma起点デザインサービス

cielo(株式会社シエロデザイン)では、コーポレートサイト・BtoBプロダクトLP・オウンドメディアのデザインをFigma起点で進めています。共同編集のスピード感を活かしつつ、クライアント側の情報セキュリティ要件・ブランドガイドライン・実装現場との橋渡しを、ディレクター+デザイナー+実装者の一体運用で受け止める体制です。

「Figma提案してみたいが自社の情シス審査を通せるか不安」「規制業種向けのデザインパートナーを探している」といった段階でも、まずは前提整理のご相談から歓迎します。お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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この記事を書いた人

佐藤 広樹

WEBディレクター

佐藤 広樹 Sato

仕事を通じて出会った方から「人から学ぶ」ことを大切に、AIやWEBから得られない知見を吸収するよう意識しています。

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